1811085 吉中みほ
花の魅力を伝えるために、花を使った新しい体験を作りたいと考えた。
雑誌を見たとき、モデルがカラフルな羽や花の絵を目元につけるメイクをし、花をあしらったベールを纏った写真が掲載されていた。雑誌のモデルが男性であったが、男女問わず行うことができるメイクであると感じた。そのメイクを応用できないかと考え、フラワーメイクを提案することにした。
本研究では、花と人の魅力を伝えるフラワーメイクサービス、「Shall We Flower?」を提案する。
「Shall We Flower?」を通して、花をより身近に感じてもらい、普段の生活で花を飾る様になるなど、花のある生活を送る人が増えるきっかけになって欲しいと考えている。
ターゲットとしては、花やメイクに興味を持つ、また、持ち始めると考えられる若者に設定した。
今回制作するサービスのコンセプトは『花の魅力を伝えるフラワーメイクサービス』である。頭上に花を飾るサービスは既に存在するため、花を直接顔に飾るフラワーメイクを中心に提案する。
調査したことは2つある。まず、フラワーメイクの前例について調査をした。花冠や髪飾りなど、頭に花を飾ることは馴染みがあると考えられる。最近では「HANANINGEN」という頭の上に直接オアシスという土台をつけ、花のアレンジメントを作り、写真を撮るというサービスが登場した。しかし、花を顔に直接飾るサービスを大々的に行なっているところは見つけられなかった。雑誌や広告では稀にみられるが、それらは花に焦点を当てたものではなかった。よって、一般の若い人に花の魅力を伝えるためのフラワーメイクは新規性があると考えられる。
次に、花を使ったサービスが浸透していない原因について調査を行なった。最も大きな原因は、花を使ったサービスは費用が高いことであると考えられる。花を使った装飾は、冠婚葬祭や商業施設で見られるものの、そのような花を使ったサービスは費用多くかかり、個人で手軽に利用できないものである。お祝いや特別な日のための花束やアレンジメントは平均3000〜5000円程かかる。そのため、特別感を感じつつ、費用が抑えられ、かつ手軽に受けられるサービスを提案することにした。
本研究で提案するフラワーメイクサービスとは、好きな花を目元など体の一部に飾り、写真を撮影するサービスである。それに伴い4つのものを制作・検討した。
1つ目は、フラワーメイクの工程を検討した。まず、花をつける接着剤を検討した。花びらは軽いため、強い接着力は必要ないことから、肌の保湿にも使用されるワセリンを使用することにした。
次に使用する花を検討した。
そして、実際にフラワーメイクを自分で試した。1つ目は、生花のヒメアスターとカーネーションを使用し、メイクを行った。生花のメリットは、花本来の色合い、質感を楽しめることである。一方、デメリットとしては、ピンセットや手で強くつまんだり、長時間経つと変色してしまうことである。次に、ドライフラワーのかすみそうとデルフィニウムを使用しメイクを行なった。ドライフラワーのメリットは、フラワーメイクを行なっている間に変色する心配がなく、家に持ち帰っても楽しむことができること、また、現在若い人に人気であることである。デメリットとしては、生花の鮮やかな色合いや質感が失われてしまう花もあることである。
2つ目は、フラワーメイクの見本を制作し、冊子にした。見本の他に、フラワーメイクについて、フラワーメイクの手順などを掲載している(図1)。
図1 フラワーメイクの見本表
3つ目は、Instagramのエフェクトである。この機能を使い、フラワーメイクを試着できるようにし、自分に合う形や色を試すことができる。エフェクトはWebサイトを参考に制作を行なった。
4つ目は、フラワーメイクを行うシステムを決定するために、サービスの流れを図にした。これを基に、フラワーメイクの手順を決定した。手順は次の通りである。
実際に対面でフラワーメイクを実施した。撮影は、知人のモデルに依頼し、本学の写真スタジオで行った。今回は、ドライフラワーを数種類用意した(図2)。
図2 実際に対面で行なったフラワーメイク
11月17日〜11月18日の期間にMicrosoft Formsを使用してアンケートを行った。本学のデザイン学部の学生、36名から回答を得ることができた。フラワーメイクに興味がある人は回答者の58.3%に当たった。また、フラワーメイクによって、花に興味を持ちそうか質問した。「とても持ちそう」という回答を6点、「全く持ちそうにない」を1点として、6段階で回答してもらい、その平均を取ると、今回の結果は4.31だった。ことから、フラワーメイクは需要があり、花に対してある程度はより興味を持ってもらえそうであることがわかった。
また、アンケートで得られた意見をふまえて、改善すべき点をまとめた。
アンケート結果から、フラワーメイクサービスの需要はあり、ある程度花により興味を持てそうであるということがわかったため、本研究の目的である「花により興味を持ってもらうためのフラワーメイクサービスの提案」は達成できたと考えられる。
今後、市場縮小で生じたフラワーロスや、規格外として廃棄されるロスフラワー削減に取り組みたいと考えている。まだ鑑賞するには十分なのだが、商品にはすることができないそうである。その様な花をフラワーメイクに活用したい。また、「メイクをされた人を見る方が楽しいから」という意見があったことから、フラワーロス改善の活動のSNSやポスターにも使用できると考えられる。
フラワーメイクにより、多くの人が新たな花の魅力を感じ、これまで以上に花が身近な存在になることで、潤いのある生活を送ることができる社会になることを願っている。