アイデア生成プロセス

- Fall semester

目次

contents

本科目のねらい

learning objectives

日常生活を様々な視点で捉え(観察)語り合う(対話)活動からアイデア生成に大切な思考と態度を考える。

  • 日常を工夫して眺め続けることが、アイデア生成に与える影響を理解する。
  • 観察結果を見せ合って語り合うことが、アイデア生成に与える影響を理解する。

見立て石

- 石からものがたりをスケッチする

見立て石のねらい

  • 身の回りにあるものから見立てをすることに慣れる
  • モノが持つものがたりに気づく
  • ものがたりを視覚化する
  • 鑑賞を通して自分を知る

【かぎばりとけいと】

見立て石

- コンセプト

『硬いものから柔らかいものを表現する』

石という硬いものをどう活用したら面白く表現活動に落とし込むことができるかを考えた際に、丁度熱中していた編み物を取り入れることにした。

- 制作過程

見立てに使う石にも制約をつけ、全て自宅の庭で発見したものを使用した。 細かな糸の描写により、石をいかに柔らかく見せるかにもこだわった。

- 自己評価 ★★★★☆

石という硬い物体を柔らかな毛糸に見立てるという、概念に捉われない見立ての面白さを発見することができた。また、モノが持つものがたりに目を向け、身の回りにあふれるストーリーに気づくことができるようになったと感じる。

まちもじハント(全3回)

- まちなかの要素を自分の名前の文字に見立てる

まちもじハントのねらい

  • 自分の発見を効果的に伝える手段を学ぶ
  • 身の回りを観察することに慣れる
  • 「なんでもないコト」からストーリーを発見する
  • 他者との対話を通して自分の観察を分析する

【第1回 まちもじハント】

まちもじ1

まちもじのもとの画像

- コンセプト

まちなかで文字を探すという活動にあたり、ただまちで文字を探すだけでは面白味に欠けると考え、一枚の写真から完結する作品にした。通勤途中の一枚の写真から名前のひらがなを切り取った。

- 制作過程

この世は文字で溢れているが、
「は」「ま」「に」「し」「ゆ」「ら」「ら」
が一つの画角で収まることは滅多にない。しかし地下鉄の椅子に座りぼーっと世界を眺めていると南平岸駅で「ら」が揃い、全ての文字がこの一瞬に集まった。

- 自己評価 ★★★☆☆

初回のハントであったことも相まってただまちなかから文字を抽出するだけの作品になってしまったと感じる。 この活動がアイデア生成プロセスの授業の本質である「見立てる」面白さに目を向ける契機となった。

【第2回 まちもじハント】

まちもじ2

- コンセプト

第1回のまちもじハントで、この世に存在するそのままのフォントをハントしても面白味に欠けると感じたため全て見立てでまちなかから文字を採集した。
「に」は地下鉄の床面、「ら」は点字ブロックなど、馴染みのあるものから文字を見立てることを意識した。また、文字全体の雰囲気の統一に努めた。

- 制作過程

「は」 期間内に納得のいく「は」を発見できなかったため、看板から採集。
「ま」 札幌大通地下ギャラリー「500m美術館」に展示されていた切り絵から採集。
「に」 地下鉄の床のパターン模様から採集。
「し」 Lotteriaの「L」部分のロゴから採集。
「ゆ」 「ip」という会社の看板ロゴから採集。
「ら」 ボロボロの歩道の点字ブロックから採集。
「ら」 すすきののスプレー落書きから採集。

- 自己評価 ★★★★☆

ほぼ全てのひらがなを見立てを活用して採集することができたため、新たな表現方法を習得することができたと感じている。採集した結果として全体的に柔らかな雰囲気を作り出すことができた。

【第3回 まちもじハント】

まちもじ3

- コンセプト

第2回のまちもじハントで、見立てをして文字を採集する視点を身につけたため、そこからさらに発展させて三次元のモノから二次元の文字を見出すことを意識して活動に取り組んだ。

- 制作過程

「は」 扉の落書きとその扉の影から採集。
「ま」 PC室の蛍光灯カバーから採集。
「に」 学校前のバス停の白線から採集。
「し」 バスの優先席のピクトグラムから採集。
「ゆ」 飲食店の配管から(天地逆転の形で)採集。
「ら」 すすきのの落書きから採集。
「ら」 飲食店の配管から採集。

- 自己評価 ★★★★★

二次元の見立てで満足するだけでなく、パイプや影などの三次元情報を活用したり、天地逆転の形で採集することによって第1回のまちもじハントから大きな成長を感じられた回となった。

この活動を通して

何かを発見し、その感動を人に伝える際にはいつも伝える工夫が付き物である。 その工夫の表現方法の幅を広げるために今回の活動があったのではないかと感じている。 「見立て」という一つの活動を通して画像の切り抜き角度一つを取っても情報の取捨選択の重要性を学ぶ機会となった。
また、自分の制作物を他の人と比べることによって自分が表現活動に対して持つ情熱を再確認することができた。

まちなか動物園

- まちなかの要素を動物に見立てる

まちなか動物園のねらい

  • 身の回りにあるものから見立てをすることを活用する
  • こだわりをわかりやすく表現する方法を知る
  • 普段見ているものを疑う目を養う
  • 鑑賞を通して自分を知る

【エイ】

まちなか動物園 エイ

- コンセプト

日常に潜む生物を生活から見出す。

- 過程

食卓に出てきたブルーカマンベールチーズの中に発見したエイの顔。まちなか動物園の活動をする中で食卓の食べ物一つひとつをも観察するようになったおかげで発見できた作品である。

- 自己評価 ★★★★☆

体の形ではなく動物の一部の特徴を抽出して見立てる面白さを発見した。

【アザラシ】

まちなか動物園 アザラシ

- コンセプト

日常に潜む生物を生活範囲から見出す。

- 過程

いつも帰り道にみかける普通の階段。たまたまこの日は雪が降ってふっくらしていた。 階段がもしこの家の住人に使われていたらこのアザラシたちには会えなかったんだろうな…と考えると嬉しい出会いだ。ふわふわの雪だったためさらにアザラシの赤ちゃんの毛質を感じる作品になった。

- 自己評価 ★★★★★

その瞬間・その季節ではないと見えないものの儚さを作品に取り入れることができたと感じている。

【タコ】

まちなか動物園 タコ

- コンセプト

日常に潜む生物を空間の中から見出す。

- 過程

バイト帰り疲れてぼやっと帰り道を眺めていたら、轍と坂道の遠近法でなんだかタコの形に見えた。 よーく見てみると人の足跡が規則的に並んでいる部分が吸盤になっていて、それは雪で歩道がなくなる冬、しかも車道を歩いても許される住宅街という場所でしか起きらないのがおもしろいと思い捕獲した。

- 自己評価 ★★★★☆

モノからではなく立体空間から見立てをするという新たな視点の獲得に繋がった。

【トリ】

まちなか動物園 トリ

- コンセプト

日常に潜む生物を生物の中から見出す。

- 過程

動物の中から動物を発見できたら面白いのでは??という若干安易な発想からペットのインコを観察。インコをひっくり返して見てみたらなんとそこには鳥がいた。 嘴の上が赤いのは少し珍しいため、うちのトリじゃないと見つからなかったであろう発見に気分が上がった。

- 自己評価 ★★★★★

動物の中から動物を探すという新たな試みをすることによって、人の心を掴む発見をするには固定概念にとらわれないモノの見方が必要であるということを強く実感した。

この活動を通して

まち文字を通して身につけた身の回りにあるものを見立てる力を生かして、自由な発想を創造する手がかりを知ることができた。また、発見の際に感じた感動をどうすれば受け手に伝えることができるか、表現方法を吟味する必要性の学びにつながったと感じている。