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正方形のケント紙に3つの規則的な穴を開け、紙面上に「喜」、「怒」、「哀」の3種類の感情を線と形で表現する。感情の表現を伝える線と形の構成を発見し、形が与えるイメージの差異を知ることを目指し、「知っている形」を一旦捨て、身体から生まれる線と形の表現がもたらす意味を探索する表現活動である。

コンセプト:喜

私の中での「喜び」は冷静さも伴うため、ランダムフォームをあえてほとんど用いないこと、使用する色をピンク・水色・黄色・黄緑・薄紫の5色に絞って、全体的に等しく配置することなどの工夫をして、3つの感情の中で唯一均整をとることを意識した。その際に、それぞれのモチーフの向きを変えたり、バラバラに配置したりすることで、「世界には様々な物事が存在していて、それらに興味・関心を持つことができるという状況に喜びを覚える」ということを表現した。

コンセプト:怒

全体的な構図は、夜眠りにつく直前に脳裏に浮かんできたものを採用した。私の中での「怒り」には、「恨み」や「妬み」も含まれている。そのため、激しさを表すために直線的で尖ったモチーフをメインで用いつつも、一部曲線的で寒色を使用したモチーフも用いること、また背景は黒と赤で暴力的に埋め尽くすことで、少量の哀しみを覆い尽くすような怒り、恨み、あるいはそこから連想して一種の呪いのようなものを表現した。仕上げとして、作品全体に点描を行ったのだが、これは「怒り」という感情の薄汚さを表現するためである。

コンセプト:哀

私の中での「哀しみ」の裏側には、少量の「怒り」が含まれている。そのため、「哀しみ」を連想させる寒色をメインで用いつつも、「怒り」を連想させる暖色も各所に用いた。中央上部にあるモチーフは、その「哀しみ」と「怒り」の表裏一体の関係性を表現したものである。3つの作品の中で唯一グラデーションを用いたのは、「哀しみ」が心の奥底から滲み出てくる感覚を表現するためである。右上と中央にあるモチーフの色の塗り方は、絵の具が混ざり合ったパレットから着想を得たものだが、このような塗り方をすることで傷ついた部分をその場しのぎで隠したような、ツギハギだらけの心を表現した。また、左上のモチーフは、紙面上で唯一角張った形にすることで「哀しみ」の元凶を表現しており、この作品にストーリー性を持たせた。加えて、全体的に動きを出すために、背景に「哀しみ」や「辛さ」、「無惨さ」などを連想する黒い雨をイメージした絵の具を垂らした。

自己評価

「喜」、「怒」、「哀」の三つの感情の差異を、線や形、配色などを工夫することで表現することができたと思う。特に、「喜」の楽しさやワクワク感といった感情のテクスチャを、紙面上にうまく落とし込むことができたと感じている。